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島唯一の産婦人科で分娩がなくなるらしい

  • 執筆者の写真: しまの授乳室事務局
    しまの授乳室事務局
  • 2月21日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月23日

筆者が暮らす新上五島町には産科機能がある病院はひとつしかない。上五島病院である。


長女も長男も、ここで産んだ。特に長女は不安まみれのはじめての妊娠出産を経験したために記憶に強く残っている。

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特に印象深いのは「やきそばと白飯」だ。


それは長女を出産した翌日のこと。この時の私は陣痛開始からちゃんとご飯が食べられておらず、「ご出産おめでとうございます」のメッセージカードが添えられた、いかにも「お祝膳」に心躍らせていたのだ。蓋を取るまでは。


パカっ。


まさに目を丸くするとはこのことだろうと思う。やきそばと白飯なのだ。しかも産後に力つけんばよ!という念が込められているのか、白飯の量が半端ではない。


今でも写真が残っているのでここに掲載する。

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正直にいうと都会の洒落た料理が出るようなところはいいなと思った。羨ましいな。素敵だなって。

普段わたしは、この島と都会を比較することはしない。そんなことしたって意味はない。都会には都会の、田舎には田舎の都合がある。

でもこの時ばかりは比べちゃったな。

(※ちなみに長男の時はなかった。幻のこんだて?)


さて本題に移るとする。


都会の産院はいいな、と思っていた私だけど、この度「上五島病院、産科なくなるらしい」という噂を聞いて胸がザワザワしている。

どこでどんな発表がされてそんな噂が出たのかはわからない。だからこそ余計な想像を掻き立てる。


とうとうこの町の少子化はここまできたのか

これから産もうと思っている人はどうしたらいいのか

みんな島の外で出産するのか

ヘリで本土まで飛ぶのだろうか

お金がもっとかかりそう


ふと思いだした。30年以上前の新上五島町が合併する前。若松島と中通島が若松大橋でつながっていなかった頃は、若松島の人は福江島まだ行ってお産していたのだった。しかも船で通院してたらしい。

夜中に産気づいたら近所の漁師さんの船に乗って…などなど。


その時代に戻るのだろうか。


そしてもうひとつ。私の歴史に残る場所が次々なくなっていくのが悲しい。


いつか子供達に「あなたたちが産まれた場所はここだよ。今はないけどね」と伝える日が来ると思うと、切なくなる。


無くなるらしい、と聞いた今では「焼きそばと白飯」すらも愛おしい。

2025.6.22 上五島病院分娩休止の住民説明会が開催されました。

噂では「産科がなくなる」でしたが、実際は「分娩ができなくなる(妊婦健診や産前産後ケアは継続)」という内容でした。


2月に噂が出てから5ヶ月。事情があったにせよ、もっと早く説明会を開いて欲しかった。


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